2017年度の活動報告（成果と課題）
2018.3.10総会資料
１ 北山公園の水環境の改善と在来生物の保護に取り組んできました
北山公園での生物調査結果（2016年度事業）を踏まえて、生物多様性を保全していくために、どのような環境を目標としていくのか、どのような種について目標種（現在生息・生育している種、かつて生息・生育していた種の中で保全や再生が可能と考えられる種、環境を保全していく上でシンボルとなる種）としていくのか、またどのように保全していくのかなどについて、北山公園整備計画等意見交換会（以下、「川端会議」と記載）の場で方向付けが行われました。また、水量調査の結果（2016年度事業）、水は足りているが水漏れが多いことを踏まえて、引き続き通年での水（流水と止水）確保を目指し、川端会議の場で具体的な対応策（北川からの取水方法や地下水の利用（浅井戸）、既存池（止水）の活用（改良）、冬水たんぼなど）について検討されてきました。
希少種トウキョウダルマガエル等の卵や幼生（おたまじゃくし）への甚大な被害が危惧された菖蒲まつり後の菖蒲田の水抜き（2016年）について、当会からの保全のための申入れ（2016年9月）を行った結果、市は具体的な対応策（菖蒲田の水路の改修など）を講じることとなり、現在、設計業務実施中です。
しょうちゃん池奥の湿地が乾燥化していることから、これを改善していくために、しょうちゃん池（南側）から導水すること、動植物が生息・生育しやすいしょうちゃん池としていくために、池の水際（水面～湖底）に積まれている玉石を移動し、自然に近い状態の水際（水中の地形）としていくこと、また水際に在来植物の植生帯をつくっていくことを川端会議の場で提案してきました。
在来生物にとって貴重な生息、生育の場となっており、北山公園の景観としてなくてはならない、そして東村山では消滅寸前となってしまった水田（民有地）について、将来にわたり守っていくための仕組みづくり（例えば市民田んぼ）の検討を継続してきていますが、2017年は所有者による稲作が本格的に再開されました。
ウシガエル、ミシシッピアカミミガメ（以下、「アカミミガメ」と記載）やアメリカザリガニなど外来生物の駆除に引き続き取り組んできました（後述）。
２ 北川や北川流域の環境の改善に取り組んできました
北川では、北川の落差工（小さなダム）解消プロジェクトの中で、落差工の改善策案を検討し、「アユが遡上する北川」を目標に、市民プランという形で具体策の提案を行う予定ですが、基礎データとなる水量調査が十分実施できませんでした。
川そうじ（クリーンアップ）は参加者数が伸び悩んでいる状況にありますが、当会にとって中心となるイベントであることから、さらに活動の輪を広げていくための検討が必要です。
外来生物の防除（後述）も活動の中心になりますが、北川では人為的に放流されたコイについても、在来水生昆虫等の脅威となっているため注視してきました。
2016年1月にかいぼりを実施した北川最上流部、狭山公園内「たっちゃん池」の再生を目指した取組（継続した魚類等調査の実施、池際の水草の再生、外来生物防除など）について、公園管理者等との意見交換や、狭山公園生物多様性保全利用検討会（東京都主催；2017年度に実施）の場で意見交換を行い、水際に水生生物が繁茂するような構造とすること、かいぼり時に排水しやすい構造とすることなどの方向性となってきています。11月には、在来生態系の再生のために、北川の魚類を池に放流しました。
北川の水源涵養域であり、東村山随一の緑地である八国山緑地について、都の「多様な生物が生息する都市公園づくり事業」で合意形成に至ったプランに基づき、工事（伐採や下草刈り、二つ池の浚渫など）が完了したので、望ましい里山生態系が形成されることが期待されます。
多摩湖堤体にシバザクラを植えようとする動きに対しては、希少な植物を守っていくことや堤体にダメージを与えない視点からの検討が必要であることを訴え続け、その動きは凍結されています。
３ 外来生物の防除
引き続き、北山公園を中心に流域の外来生物の防除に取り組んできました。
北山公園では特定外来生物のウシガエルや侵略的外来種のアメリカザリガニが多数繁殖しているため、カゴアミなどを使って捕獲するとともに、北山わんぱく夏まつり時には「ウシガエル捕獲大作戦」を開催し、子どもたちも巻き添えにしながらの捕獲活動を行ってきました。北山公園内「しょうちゃん池」などで繁殖している侵略的外来種アカミミガメの防除については、日光浴ワナで捕獲を継続してきました。以上の結果、昨年は、ウシガエル（成体）106、ウシガエル（幼生）84、アメリカザリガニ1127、アカミミガメ5個体などを捕獲しました。
北川で繁殖している特定外来生物オオフサモの駆除については、駆除作業を行う人員が限られていることから、昨年も実施を見送りました。今後は、参加して楽しめるようなイベントとしていくなどの再検討が必要と思われます。
昨年は、市主催の外来種バスターズ入門講座や外来種の駆除大作戦が開催され、親子連れや中学生など多くの一般市民の参加がありました。市主導のこれらの事業は高く評価できるものであり、市内にも外来生物に対して関心の高い層が一定数、存在することを再認識することになりました。今後は、外来種バスターズ入門講座への参加者との連携や外来種の駆除大作戦の定例化などが課題となります。
外来生物を防除していくためには、市民に対して外来生物の現状と問題点をより強力にアピールしていく必要があると思われますが、北山公園水と緑の掲示板や「北川ルール」の看板、かっぱ通信などでのアピールに加え、新たな方法でのアピールを検討していく必要があると思われます。
４ 北川および周辺環境の環境変化を捉えるため、北川の水質や投棄ゴミと併せて、周辺でみられる鳥類などの生息状況について継続的に調べてきました。
【水質調査】
６月４日の全国の川・一斉調査に参加し、例年と同様に北川と前川の調査を担当しました。全般的には、一部を除き透視度が高かったものの、ＣＯＤ濃度の値は全地点で２～４ppmと例年と同様な値となりました。
【ゴミ調査】
北川水辺倶楽部が主体となって毎月実施している「定例川そうじ」では、平成11年度（1999年）から収集したゴミの量を継続して記録してきました。ゴミの総量は平成１６年度をピークに減少しているものの、ここ何年かは大幅に減少するような傾向にはなく、今年度は昨年度と同様な結果でした。また、ゴミの内、缶やペットボトルなど「特定ゴミ」の本数は平成１５年度をピークに減少し、今年度は昨年度と比較し特定ゴミの内、缶類やビン・ワンカップ等の危険ゴミが減少しています。
【生物調査】
① 北川の魚類等：主に８月６日のわんぱく夏まつりの「北川水族館」展示の機会を利用して調べました。今年はヨシノボリ、タモロコ、カワムツなどが多くみられました。一方、外来生物のウシガエル（オタマジャクシや成体）、アメリカザリガニを多数捕獲しました
② 北川の魚類等：主に８月６日のわんぱく夏まつりの「北川水族館」展示の機会を利用して調べました。今年はヨシノボリ、タモロコ、カワムツなどが多くみられました。一方、外来生物のウシガエル（オタマジャクシや成体）、アメリカザリガニを多数捕獲しました
③ 北山公園周辺の陸域生物（鳥類・チョウ類・トンボ）：有志の任意観察結果を主体に、夏まつり、みどりの楽校、市内小学生の環境学習（主に6～2月の土曜講座など）などのイベントの際のデータなどが当会ＨＰからリンクされています。これまでのデータの蓄積により、八国山を含めた当会のフィールドの鳥類・チョウ類・トンボ相が明らかになってきました。
これらの調査結果の一部は、ホームページで公開しています
５ 北山わんぱく夏まつりの開催と環境学習の支援を推進してきました
北川と流域の自然環境の保全や再生のための活動を推進していくために、主として次世代を担う地域の子どもたちを対象とした環境学習への取り組みに、引き続き力を入れてきました。
最大のイベントのひとつである「北山わんぱく夏まつり」（8／6）は、東村山市など様々な方面からの協力を得て、子どもたちへより多くの楽しいメニューを提供することができました。本年も実行委員会を早期に立ち上げ、検討・準備をすすめました。「夏まつり宣言」により、開催の意義や、私たちの思いを参加者に伝えました。加えて、夏まつり専用のフェイスブックページ、ホームページを作成し広報しました。
小学校の土曜講座には積極的に参画しました。プールのヤゴ救出（5／27北山小）、狭山公園ホタル観察（6／24北山小）、八国山の昆虫（6／10富士見・南台小、7／15北山小）ヤゴいかだづくり(10／17北山小 雨天中止)、北川の生き物（9／16富士見・南台小 雨天中止、9／16北山小）、空堀川・八国山＆北山公園の野鳥観察（11／25、1／6富士見・南台小）で、児童の川やみどり等についての理解・体験をサポートしました。
土曜子ども講座と北山いきもクラブでは、2017年は雨天中止が頻発しました。
６ 市役所や関係団体との連携を図ってきました
昨年も、川端会議などの場で、北川流域の自然環境の保全や再生を目指し、市役所との協働に努力してきました。その結果、北川クリーンアップや北山わんぱく夏まつりの開催、北川カヌー（夏まつり）を実施するための北川の堰き止めと撤去作業、北山公園の外来生物対策の実施などについて、市と連携しながらスムースに実施することができました。川端会議の場では、北山公園でのトウキョウダルマガエル等の絶滅危惧種の保護や外来生物の防除、菖蒲田の水抜き問題を発端とした菖蒲田の水路の改修などの議論が進みました。
昨年も、狭山公園や八国山緑地等の都立公園を東京都から受託して管理している「西武・狭山丘陵パートナーズ」との連携をさらに深化することができました。７月の「狭山三公園管理運営協議会（東京都が設置、主催は西武・狭山丘陵パートナーズ）」をはじめとし、7月の「狭山公園わいわいミーティング」や2018年1月の「八国山緑地わいわいミーティング」に参加することにより、北川流域の環境保全や復元に向け、意見交換を行うことができました。11月の狭山公園開園80周年記念イベントでは「たっちゃん池」の自然を復元していくために、北川の在来魚を池に放流することができました。また、３月に開催された「春のうららかウォーキング（西武・狭山丘陵パートナーズ主催）」では北川かっぱの会で多数の参加者に北山公園や北川の解説を行うとともに、同月に実施された「狭山公園湧水の池生き物調査（西武・狭山丘陵パートナーズ主催）」では、狭山公園友の会とともに調査を実施しました。
今年度は、狭山公園について都主催の「多様な生物が生息する都市公園づくり事業」が実施となり、生物多様性保全利用計画を策定する検討会に参加し、意見交換を行っています。
その他、新河岸川水系水環境連絡会と連携し、引き続き６月の全国の川・一斉水質調査に参加するとともに、新河岸川流域しんぶん「里川」への北川関係の原稿作成などにも協力を行なってきました。「北川・八国山・北山公園のいきもの」の編集では、八国山たいけんの里自然部会との協働作業を行ってきました。また、柳瀬川流域水循環再生市民懇談会や柳瀬川流域ネットワークについても参加してきました。
７ 地域への情報発信力を強化するとともに、会員内外の交流の拡大を図ってきました
地域や会員へ情報提供を行っていくために、「かっぱ通信」を年５回発行しました（２、４、７、１０、１２月発行）。
その他、地域への情報発信力をより高めていくために、「（北川の環境を守ろう）ネームプレート」を主要なイベントで着用するとともに、主要な橋に垂れ幕を設置（クリーンアップ、夏まつり）などに取り組んできました。北山いきものクラブではのぼりを設置しました。また、ホームページの内容の定期的な更新（月１回程度）、定期的なブログの発信（週２回程度）に取り組んできましたが、より訴求力のある内容としていく必要があると思われます。
北山公園内の「水と緑の掲示板」の掲示を継続し、情報発信力の強化を行ってきました。北山公園・八国山「見どころマップ」では、季節ごとに見ることのできる動植物の写真を掲載し好評でした（春、初夏、夏、秋、冬編を掲示）。ボードの劣化などに伴い掲示方法を変更、写真をコルクボードに貼り付け、別途A3サイズのトピックを掲示するようにしました。
一昨年、土木学会市民普請大賞で準グランプリを獲得しました。これを受けて、北川の落差工解消に向けて1月に水量調査を実施し、2月に受賞の祝賀会（前代表の三島さんの送別会）を開催しました。
個々の活動にあたっては、引き続き、会員内外の交流の拡大、会員各自が興味のあるテーマやイベントに参加しやすい体制づくりをめざしてきました。かっぱ通信やホームページ、かっぱブログ、メール、口コミを活用し、イベントや調査、打合せなどへの参加の呼びかけや各活動の実施結果などについて、情報提供の充実化を図ってきました。
８ 活動する人の層の底辺の拡大に努力してきました
北山公園や北川流域の自然環境の保全や再生を行っていくためには、活動していく人の層の底辺の拡大、特に若い世代の活動層の拡大を図っていくことが重要です。そのために、北山わんぱく夏まつりや川そうじ（クリーンアップ）、外来生物の駆除、水と緑の掲示板の編集、環境学習の支援など、ボランティア募集を拡大、強化すべく努力してきました。様々な方々に参加していただけるようできるだけ多くのイベントを開催するとともに、ボランティアの募集情報を適切な時期に適切な方法で行っていくことや、積極的な声掛けなどにより、間口の広い受入体制を心掛けてきました。